ブログ

  • Home
  • コラム
  • 「体内で幹細胞を増殖させる」科学的に検証可能な仮説
 

「体内で幹細胞を増殖させる」科学的に検証可能な仮説

2026.2

 前回ではとかく「体内での幹細胞増加」と言うと、単に体内の幹細胞を増やす事と考えがちだが、「増殖」と「動員」がある事。「増殖」とは幹細胞を増やすことであり、「動員」とは幹細胞を増やすのではなく、ある場所に幹細胞を誘導、集中させること。そして、現在のところ「動員」の方が実用化に近いという事で続きを。

7. 非造血組織では「ニッチの再構成」と「腫瘍リスク」の距離がさらに近い

腸、皮膚、肝、筋などの組織常在幹細胞は、自己複製と分化が強く結びついており、“増殖”はそのまま腫瘍化の近傍にある。腸上皮の幹細胞マーカーとしてleucine-rich repeat-containing G-protein coupled receptor 5(LGR5)が同定され、Wntシグナルが幹細胞維持の基盤であることが示されている。
Wnt強度を増強する因子としてR-spondin(RSPO)が知られ、LGR4/5と相互作用してWnt受容体量を調節することでシグナルを増幅する。
一方で、RSPO–LGR5軸はがん文脈とも強く交差し、Wnt増強は“再生”と“腫瘍促進”を同じ方向に押しうる。従って、非造血組織でのin vivo増殖誘導は、(1)局所・短時間・可逆、(2)損傷後の狭い時間窓、(3)腫瘍抑制系(p53経路など)を壊さないという制約の中で設計されるべきだ。